生前贈与と相続放棄
1 生前贈与を受けていた場合の相続放棄における注意点
法律上は、被相続人の方から生前に贈与を受けていた相続人の方であっても、相続放棄をすること自体はできます。
民法においては相続放棄が認められない事由(法定単純承認事由)がいくつか定められていますが、生前贈与があったことは法定単純承認事由に含まれません。
ただし、生前贈与の時点で被相続人が負債を抱えていた場合と、多額の資産を生前贈与していた場合には、相続放棄後に問題が発生する可能性があります。
以下、これら2つのケースについて具体的に説明します。
2 生前贈与の時点で被相続人が負債を抱えていた場合
被相続人の方が貸金業者等から借金をしているなどの状況で生前贈与をした場合、被相続人の債権者から元相続人に対し、相続放棄後であっても詐害行為取消権を行使される可能性があります。
詐害行為取消権の行使がなされると、まず生前贈与が取り消されます。
さらに債権者から生前贈与を受けた元相続人に対して、贈与された財産を返還するよう請求することができます。
3 多額の資産を生前贈与していた場合
相続放棄をした場合、一般的には、元相続人には相続税の申告・納付をする義務はありません。
相続放棄をすると、初めから相続人ではなかったことになり、一切相続財産を取得することができなくなるためです。
ただし、生前贈与を受けている場合には、相続開始後に相続税の申告と納付が必要となる可能性があります。
2023年末までに被相続人から生前贈与を受けていた場合、相続開始前3年の間に贈与された資産が相続税の課税対象となります。
2024年1月1日以降に生前贈与を受けていた場合、相続開始前7年の間に贈与された資産が相続税の対象となるよう、順次延長されることになっています。
また、相続時精算課税制度を用いて生前贈与をしていた場合には、生前贈与をした時期に関わらず、相続税が課される可能性があります。
相続税の課税対象となる生前贈与の評価額と、被相続人の方の相続財産の合計額が基礎控除額を下回っている場合には、相続税は課されません。
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