全員が相続放棄をしたら財産はどうなるか
1 相続人不存在になり相続財産清算人以外処分ができなくなる
相続人全員が相続放棄をすると、はじめから相続人が誰もいなかったことになります。
その結果、法律上は相続人不存在という状態になり、被相続人の財産は誰のものでもなくなります。
より専門的には、相続財産は法人という扱いになります。
相続放棄のときに相続人が現に占有していた相続財産は、その相続人が管理責任を負いますが、相続財産の売却や廃棄をすることはできません。
そうでない相続財産は、誰も管理責任を負わないことになります。
このような状態になった相続財産の管理責任を免れたり、相続財産の処分をするためには、相続財産清算人を選任する必要があります。
以下、相続財産清算人を選任する手続きの流れと、相続財産清算人選任後の相続財産の扱いについて説明します。
2 相続財産清算人を選任する手続きの流れ
相続財産清算人選任も申立てをするには、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に所定の書類を提出します。
提出すべき書類としては、申立書、戸籍謄本類、相続財産目録、相続財産や相続債務を裏付ける資料が挙げられます。
相続財産については、相続財産清算人選任後の業務をスムーズに進めていくためにも、できるだけ詳しく調査した方がよいでしょう。
注意すべき点として、申立ての際には100万円程度の予納金が必要となることが挙げられます。
これらの書類や予納金を家庭裁判所に提出すると、まず書類審査が行われます。
書類の内容に不備等がないと判断されると、家庭裁判所が相続財産清算人を選任します。
3 相続財産清算人選任後の相続財産の扱い
相続財産清算人が選任されたら、相続財産清算人に連絡を取り、面談や保管している相続財産の引渡しなどの調整をします。
その後、相続財産清算人による管理が開始されます。
被相続人の自宅が老朽化している場合などには、応急的な処置をすることもあります。
被相続人の預貯金は解約され、相続財産清算人の管理口座に移されます。
不動産や株式、自動車などは基本的には売却されて、売却金は相続財産清算人の管理口座で管理されます。
相続財産の調査や清算等と並行して、相続人捜索の公告、相続債権者・受遺者請求申出の公告、相続債務の弁済、特別縁故者に対する相続財産分与などが行われます。
その後、相続財産が残っている場合には国庫に納めて終了となります。
相続財産にある程度価値があり、管理費用や相続財産清算人報酬を賄えるようであれば、最終的に予納金は返金されます。
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